職人に憧れ続けた男!井上陽介!
私は小学校を卒業し、中学へ進学すると同時に、こっそりと建築業界へ飛び込みました。幼いころから早く手に職を付けて両親をラクにしてあげたいと考えていたからです。学校と仕事の両立というよりも、部活と仕事の両立をしておりました(笑) 大好きな野球をやりながら、たま~に授業にも出ながら、どうにかして建築業界で生きるすべを身に着けようと必死だったのです。
両親から愛情をいっぱい注いでもらった幼少時代
実はこう見えて三男坊なんです(笑)
意外でしょ?(笑) まわりからは長男だと勝手に思い込まれています。幼少時代は優しい兄たちに囲まれて、いつも遊んでもらっていました。
でも、父は公務員で真面目で厳しい面々もありました。ときに私の将来をたいそう心配する父でもありました。
「お前は三男やから、自分で食うて行く道筋を付けろ!」とよく言われていました。幼い私はなんのことやらさっぱりわかりませんでしたが、なんとかく「大人になったらちゃんと仕事をせなアカンのやなぁ~」と肌で感じていました。
そう考えると、意外としっかりものの幼少時代だったのかなぁって思いますね。
なんとなく始めたけど、知れば知るほどのめり込みました!
自分は運があるなぁと思っています。良い親方に出会えたからこそ、教わる技術も多かったですし、生き方を学ばせていただきたと感じております。
常に「自分で商売をやりなさい!絶対に独立しないさい!」と言われておりましたので、私もその通りいつか絶対に自分で起業しようと強い意志を持っていました。
そして18歳で独立開業をしました(笑) 今考えるとこんな若造がよくぞ開業できたなぁと思います。でも当時の私は「お金を稼ぎたい!」、「親をラクにしてあげたい!」そんなモチベーションで頑張ってきました!
しかし、あるときに私は「人を使うことでこんなにも利益があがるんか!」ということを知ってしまいました。そこが運の尽きでした(笑)
現場には多くの人が必要になります。元請けさんから「今日は10人、明日は15人」と連絡があると、私は友人や知人に片っ端から電話をして人を集めました。毎日人を段取りするだけで大金が舞い込んできたのです。私の仕事というと夜に魚町で散財することでした。でも当時の私は「お金さえ儲かればそれでいい!」と思っていたのです。
だから20代前半で「手に入れたいものは全部手に入れた」そんな感じで人生を舐め切っていたかもしれません(笑) 商売も順調、お金も豊富にありましたが、今思うと堕落した人生だったとちょっと後悔しております(笑)
人生の転機がやってきました
それまで順調であった人材派遣業に陰りが見えてきました。元請けの倒産。私は危機に陥ったのです。天罰だと思います(笑)朝、電話で人の段取りをするだけの仕事、、昼夜は遊んで暮らすそんなスタイルも限界が来ました。
私は、もう一度「建設業」を見直して真面目に働くことにしました。さらに結婚を機に妻と子供に奉仕する人生へと舵を切り直すことにしたのです。
特に2人の最愛の娘が出来てからは、「良きパパで居続ける事!」それをライフワークと考えたのです。それが「食の安全」なのです。今までの私からは思いもよらない言葉なのですが、「子どもたちに安心・安全なものを食べさせてあげたい」と強く考えるようになったのです。
そうだ!野菜を作ろう!!
子どもたちに安全な食べ物を与えるにはどうしたらいいのかな?と、ほぼ仕事そっちのけで考えていました(笑)
そんなときに、某有名飲食店の社長から「無農薬野菜を作ってみぃひんかぁ?」と言われたのです。その方は長年ご自身で無農薬野菜を作り、お店でもその野菜を使っていらっしゃいますので、教えてもらいながら自分自身でやってみよう!とすぐに行動を起こしました。それが無農薬野菜・有機野菜を栽培する『梵ファーム』の原点です。
本業の建設業はそこそこにして、農作業に情熱を注ぐ毎日でした。久しぶりに自分自身が動かなければならない仕事なので最初は大変でしたよ(笑)
もちろん、書物で野菜の育て方を勉強し、それでもわからないときは師匠に電話し、試行錯誤のうえやっとのことで育て上げた野菜が台風で流されてしまうこともしばしばありました(悲)しかし、苦労しながら育てた無農薬野菜は、本当に美味しくて今でも獲れたての美味しさには感動します!
家族や友人知人や近所の方に配っても本当に喜ばれました。もちろん最愛の娘たちも喜んで食べてくれました。農業がこんなにも素晴らしい仕事だと気づいた瞬間だったのです。俺には農業がきっと向いているに違いない!と考えるようになりました。
そんな大好評の野菜を、私のように小さなお子さまのいる家庭に届けるにはどうしたらいいのかぁ?と考えるようになりました。「そうや!この野菜を使ったヘルシーで安全な料理を食べてもらえる店を作ろう!」と考えました。
農家レストラン 梵ボーノの経営者に!
私と同じように、小さなお子さまの食の安全を考えている人がきっと大勢いるはずだと考え、すぐに「梵ファームの野菜を使って作った離乳食を無料で提供」することを思いつきました。
とにかく、小さなお子さまも一緒に楽しめるレストランを目指すことにしました。梵ファームの朝採れ無農薬野菜を使った安全・安心なオーガニックレストラン、梵ボーノの完成です!
店内の内装はすべて私の手作りです。内装リフォームの仕事は手馴れていますから、ほとんどを私一人でやりました。設計、素材選び、お金を掛けずにワンランク上の店舗づくりは一番自分らしさが出ていると思います(笑)
梵ボーノでは、小さなお子さま連れでも安心して美味しくて安全な料理を楽しめる空間にしております。また離乳食が必要なお子さまは無料で提供させていただいております。梵ファームの野菜もご購入できますし、無料で持って帰っていただける無農薬野菜もございますよ。
ローコストでワンランク上の家!
農家で培った安全性や、自身のレストランを作るときこだわったローコスト。それを本業のコンセプトにしたいと考えるようになりました。
ちょうどそんなときに、久々に出会ったのが、親友で建築士であります設計士です。建築に対する私の強い想いをぶつけてみましたところ、彼も同じ考えだったのです。
「ローコストでもワンランク上のデザイン住宅」を二人で手掛けて行こう!ということでタッグを組むことになりました。彼はもともとデザイナーズ住宅を手掛ける建築士で、私自身、彼が描く設計には一目置いておりました。とてもオシャレで機能的な家をローコストで建てることが可能になったのです。
朝は畑に行って野菜を摘みレストランに持って行く。そして昼間はお客様から受注した家づくりが日課となりました。仕事はクチコミや紹介だけで受注しておりました。家を一軒建てることもあればマンションのリノベーションもありました。とくにかく個人のお客様でご予算が少ないものの、ちょっとでもいい家を建てたいと思われるお客様が内装工事キング・コーヨーリンクス(株)に集まるようになっていきました。
同時に店舗内装やリフォームの仕事も紹介や口コミによって、受注するようになっていったのです。店舗の場合は自分の店を作る際、積極的に使った廃材で材料費をとことん下げることができました。これは大手の工務店や設計事務所ではほとんどしませんので、やはり「安くておしゃれな店を作りたい」というお客様にクチコミで広がり現在に至っております。
安さの秘密は廃材の利用だけではありません。余った塗料も使いますし、私自身が動くことで人件費も抑えられます(笑)ちなみに私は内装でも外壁でも屋根でも防水工事でもどんな作業でも出来ます。多少予算を越えてしまっても私が動けば予算内に収まりますよ(笑)
こんな感じで、農家をやりながら、建築作業員として仕事をこなし、お客様との打ち合わせも行きながら、たまには協力会社と飲みにも行かなくてはなりません(笑)大忙しの毎日です。これからも家族、そして御支持してくださったお客様の為に「喜んでいただく」ことを精一杯やります。